「本人」にとって、「家族や介護者」にとって、あるべき「倫理」とは何か?

エントリーはこちらWEBサイトはこちら

「本人」にとって、「家族や介護者」にとって、あるべき「倫理」とは何か?

「本人」にとって、「家族や介護者」にとって、あるべき「倫理」とは何か?

2021/07/01

当園「第78回/第14回(合同)運営推進会議(2021.6.24)」席上、出席者(家族代表)から、次のようなお言葉をいただいた。
 『…… グレーの部分「これは倫理的に良いのか、悪いのか?」をオープンにすることは労力のいることなのでこういう場で見えるように開示していただくのは貴重なことだ。』
「本人」にとって、「家族や介護者」にとって、あるべき「倫理」とは何か? を掘り下げたい。


👉漢字の「じりつ」には、「自立」と「自律」がある。
「自立」は、自分のことは自分で出来る。或いは自分で出来ることは自分でする、という意味。 
「自律」は、自分のことは自分で決めることが出来る、という意味。   
介護の現場で大切にしたいのが、後者の「自律」。私たちは、人として生きる為の「道しるべ」を「倫理」と呼ぶ。私たちの職域における行動の規範原則が『グループホーム倫理綱領』。これを毎年10月「開園記念月・スタッフ研修会議」席上全員で「グループホーム倫理綱領/グループホーム利用者の権利」を斉唱してきた。
👉「倫理」には4つの原則がある。 参照『福音の園だより 第82号 2011.10月発行』
  1)自律尊重原則 = 自己決定を尊重する、支援すること  
  2)善行(恩恵)原則 = 最善の利益を考えること  
  3)無危害原則 = 危害を加えないこと   
  4)公正原則 = 利益と負担を公平にすること
これまで、自己決定を尊重する、支援するという自律尊重原則が大切であるとされてきた。ところが、意思能力が損なわれてくる認知症の人の場合、自律尊重原則よりも、「本人」の症状進行に 伴って、最善の利益を考えるという善行(恩恵)原則が重要になってくることから、認知症の重度化に伴って見失いがちになる私たちの視点を、「善行(恩恵)原則」がさらに一歩先へと道案内してくれる。
👉「東日本大震災」で被災した家族が他県へ避難された。避難先へ到着して約30分後、家族が目を離した隙に62歳女性が一人で避難所を出て行方不明になった。翌日、林道で凍死しているのが見つかった。認知症を抱えていた。地震と津波から生還できた命だっただけに無念でならない。
こうした痛ましい事例の数々を通して、本人「意思能力を欠き、動き回る(徘徊)認知症の人」を、 家族の要望に従って行動域を制限することは、本人を骨折等の危険から守ることになり、善行(恩恵)原則にかなうかもしれないけれども、自由に行動するという権利と抵触し、自律尊重原則と対立することになる。介護の現場で繰り返される混乱の根本原因がここにある。
👉「QOL」と「QOLs」のバランスを大切にして
ご本人のQOL(quality of life)を大切にしながら、ご家族を含めた関係者全員のQOLs(quality of lives[クオルス])も大切になる。「何が認知症の人にとって最善か」「何が家族(介護提供者)にとって最善か」のバランスを考慮することが「これからのケア」。


〚メモ〛 いままでの介護=「経験と勘に頼りお世話(介護)」であった為、「何が倫理的に正しいのか(4つの倫理原則)?」よりも、「大きな声(経験と勘に頼る発言)に押し切られる介護」が平然とまかり通ってきたという現実。経験と勘も大切だが、経験と勘を「錦の御旗」にせず、確かな(最新の)支援技術の前に〚共に介護する若いスタッフ〛、腰を低くする姿勢こそ、当園方針『確かな支援技術に基づいた心に触れる支援の実践』を目指す一歩となる。
(2021.7.1 グループホーム福音の園・川越第二 管理者 杉澤 卓巳)

当店でご利用いただける電子決済のご案内

下記よりお選びいただけます。