「マニュアル」でなく「人の道」、を再認識した !
2021/09/07
新型コロナ禍の8月16日夜、Тさん(90歳・女性)。ご家族に見守られながら、旅立たれた。翌朝、ホーム玄関で讃美歌を歌ってお見送りした。娘様が、「泣いたり、笑ったり、怒ったりする母をあるがままに受け入れて下さった皆様に心から感謝いたします」と言葉を詰まらせながら、入居者・職員へ語って下さった。6日後に営まれた告別式に参列し、とても深い感動に包まれた。
Tさん90年のご生涯。最後の6年余の在園生活だったので、知り得なかった「輝いて生活された歳月」は心豊かに夫を支え、子や孫たちに心を尽くした「妻であり母であり祖母であった人だった」と知ることができた。「長ーい読経」を終え、いよいよ最後「お別れ」の場面。喪主様からホームにおけるご本人生活ぶりが篤く語られた後、参列出来なかったという「孫娘」さんの手紙が紹介された。「おばあちゃんの孫でよかった。優しくしてくれて本当におばあちゃん有り難う。私もお母さんになったよ。産まれた子には『カオル』という名前をつけたよ。大きくなって本人が性別のことで悩んだりしても大丈夫な名前にしたよ…。」。最後に、Тさんに愛され、可愛がられた子や孫たちが次々に、棺に顔を寄せるようにして「ありがとう。私をおぶってくれてありがとう!」と優しく語り掛けておられた。
見守りながら『育てたら、育てたように返す子ら』(新聞投稿 川柳)を思い出した。
「優しくしたら、やがて自分も優しくしてもらえる」。反対に「冷遇したら、やがて自分も冷遇される」―「マニュアル」ではなく「人の道」を改めて再認識した。Tさんをお見送りして葬祭場からの帰路、17年余の「福音の園の理念・方針」は間違っていなかった! と思いをさらに強くした。
ホームに果物(ブドウ)が届いた。2004年開園時ご入居し在園16年余。本年1月、老衰のため逝去されたKさんご家族から贈られてきたものだった。基本理念『一、(確かな支援技術に基づいた)心に触れる優しい支援の実践』『二、(福音「聖書」に基づいた)希望への支援の実践』―のもとに、スタッフ総力で運営された結果、「果実」として贈られてきた「おこころ」だった。
(2021.9.7)
NPO福音の園・埼玉 理事長 / グループホーム福音の園・川越第二 管理者 杉澤 卓巳