「個別化の原則」―その2“ロボットは、オムツ替えしてくれない!”
2025/01/23
👉先日、Zoomセミナーを受講した。『生産性向上・職場環境改善に向けた取組』がテーマ。
生産性向上には、介護テクノロジーの導入(ICT、介護ロボット、他)が必須である、としながら、予想外の展開に「目からウロコ!」だった。
👉講師曰く、
効率化、システム化できるのは間接業務[例えば、記録・報告・ケア計画の作成・他]のみです。直接業務である「身体介護」は依然として、「人の手」で行うことに変わりはありません。ロボットがオムツ替えや入浴介助してくれる訳ではない―と。
👉講師はさらに踏み込んで、
介護施設の「競争力の向上」をどう取り組むか?「ケアの質の差」で勝負するしかない。「介護報酬」は国が定めており、「価格差」で勝負できない。「サービスの質の向上」で勝負するしかない。
生産性向上による、ICT化や業務改善も効率化に繫がるとしても、それがサービスの質向上に繋がるか、が重要なカギになる。
ICTの導入は、目的ではなく、あくまでも手段であって、その先に、ケアの品質の向上、職員の生産性の向上がある。
👉では、ケアの品質の向上とは何か?勝負できるカギは「個別化の原則」に立ち続けるしかない、と再認識した。
「一人ずつ、一人の人間」として、きちんとお世話できること。どれだけ、きめ細やかな「個別対応」のできる施設か否か?ではないのだろうか。
脳科学者・茂木健一郎さんの言葉
AIを導入する上で一番問題になっているのが、AIが人の「生き甲斐」を奪うリスク。例えば、絵を描く生成AIがある。でも、絵描きにとっては、絵を描くこと自体が生き甲斐なので、「喜びません」。介護の仕事も、やっぱり生き甲斐が大きな要素。そう考えると、ただ楽になればいいというものでもないわけで。どんなにAIやロボットが仕事を助けてくれるようになっても、人の温かみがそこになかったら、利用者の方たちは癒されない。幸せを感じないと思うんです。人間には人間の価値がある。皆さんには皆さんの価値があるということです。自信をもって、これからも介護の仕事を続けていただきたいと思います。 <出典:『介護福祉士の本 2025』 04~05頁> |
(2025.1.23)
NPO福音の園・埼玉 理事長 / グループホーム福音の園・川越第二 管理者 杉澤 卓巳