「付き添い」と「寄り添い」は違う!に気付かされて、『「寄り添い」とは時間・場所・感情を共有すること』だった
2024/11/01
👉川越市広報・特集で紹介された『マンガでわかる! 認知症の人が見ている世界』(文響社)を買い求めた。1)「付き添い」と「寄り添い」は違っていた。2)「寄り添い」とは時間・場所・感情を共有すること。改めて、気付かされた。
1.7年前、機関誌で「支える」は下から、「寄り添う」は横から と説明していた
私たちの認知症対応型ホームは、認知症状を有するゆえに「最期を迎える道をわきまえる」ことの困難なお一人ひとりが身を寄せておられるところ。そこで、「私(私たち)という人間」が代わって「立派に死ぬこと」を、下から、そして横から「寄り添う」ことで、「その人らしく」人生を全うすることを支えて差し上げる。『生涯で最も困難な時期を支え、今一度「生きる力」を引き出して差し上げることが私たちの最大の仕事』と言える根拠がここにある。そして、ここに私たちの誇りがある。 『福音の園だより』第147号 2017年3月発行 抜き書き |
「寄り添う」の言葉から受け取る感じ(語感)、イメージは人によって違う。何となく曖昧な印象。今回、「寄り添う」は、「場所・時間・感情」の3つを共有することだ、と教えられた。曖昧だった「寄り添う」は具体的で説得力のある「支援技術のひとつ」だったと再認識できた。
マンガでわかる! 認知症の人が見ている世界 161頁 抜き書き 認知症の人は、日中は健やかに過ごしていても、夕方になると症状が強まり、ソワソワして落ち着かなくなったり、イライラして、家に帰ろうとしたりするケースが多くみられます。このような症状は『夕暮れ症候群』と呼ばれています。(中略)ですから、「もう帰ることはできません」、「ここが家です」といって無理に引き留めるのは余計に不安を募らせてしまうため逆効果です。「帰るのは食事を食べてからにしませんか?」と声掛けして気をそらすと治まることがありますが、この場合には功を奏しませんでした。そこで、少しの時間でもトミさんの「息子さんが心配だ!」という想いに寄り添うといいのではないかと考え、しばらく一緒に歩くことにしたのです。 認知症ケアでは、よく「寄り添い」が大切だといわれます。では、寄り添いは具体的にはなんでしょうか。私は、「場所」「時間」「感情」の3つを共有することだと考えています。(中略)「親につきあって病院に来た人が、待合室ではスマートフォンを見ている」という場面を見ることがあります。(中略)この場合、時間と場所は共有しているものの、感情は共有していません。寄り添いはなく「付き添い」というべき状態だといえます。認知症の人とのコミュニケーションでは、付き添いに終わらず、寄り添いを心がけるようにしてほしいと思います。 川畑 智 著 理学療法士 熊本県認知症予防プログラム開発者 |
2.「付き添い」でなく「寄り添う」専門職へと成長させていただきたい 事例:自殺願望者より届いた手紙「私は、あなたとのやりとりで自殺を想い留めることができた。それはあなたが話してくれたことはサッパリ意味が解らなかったけれど、あなたが私のために夜中に真剣になって説得してくれた、あなたの熱意が嬉しかったので…」[精神科医:ヴィクトール・フランクルの逸話より]
👉「もう帰ることはできません」「ここが家です」という 正論 が通じない認知症介護の世界にあって、「時間・場所・感情」を共有できる「支援技術」を身に付けた、介護専門職へ成長させていただきたい。
(2024.11.1)
NPO福音の園・埼玉 理事長 / グループホーム福音の園・川越第二 管理者 杉澤 卓巳