NHK朝ドラ『エール』を、ホーム食堂テレビで観終えて
2020/11/30
NHKの連続テレビ小説『エール』の第90話で、薬師丸ひろ子さんが演じた約3分間の独唱シーンが話題になっている。ドラマのキリスト教考証をつとめた立教大学の西原廉太教授は、
「あのシーンには『死』から『復活』へという、神学的なメッセージが通奏低音のように流れている」と語っておられる。
西原廉太教授は、薬師丸ひろ子さんの「うるわしの白百合」収録当日、キリスト教考証とキリスト教関係の所作指導のため収録に立ち会われた様子を詳細に語っておられる。
うるわしの白百合」の2節部分のみを歌われることを提案していた。15分という放映時間の中で、常識的に考えても、薬師丸さんの歌唱部分の尺は相当短いはずだと認識していたからである。もし一部(一節)ということであれば、台本のイメージを踏まえても、2節がふさわしいと考えた。「かぎりなき/いのちに/さきいずる/すがたよ」という詩は、前日までに繰り広げられるインパール作戦、豊橋空襲という「絶望的な死」を悲しみながら、しかし、未来への限りない「いのち」を願うという意味でも、感動的ではないかということ、また、これは私のある意味、偏見でもあったのだが、1節の「イエスきみの/はかより/いでましし/むかしを」という、ダイレクトにキリスト教の中心的教理を表現する詩を、公共放送としてのNHKが放映するのには躊躇があるのではとも想定したからである。 私は、「
いよいよ薬師丸ひろ子さんの撮影が始まり、薬師丸さんは、最初は静かに「うるわしの」と歌い出され、そして2節に入ると、歌は高揚し、最後はまさしく“絶唱”であった。監督の「カット」がかかっても、広いスタジオは深い沈黙に包まれたままであった。私の隣でモニターを見つめていた、若いスタッフたちが、目を真っ赤にしながら泣いていた。私も、胸が締めつけられながら、涙が溢れて止まらなかった。
私は、収録直後、この場面は間違いなくNHK朝ドラ史上の名場面になるのではないかと確信したが、今回の放映で、ただの1秒もカットされることなく、1節、2節すべてが歌われた薬師丸ひろ子さんの「うるわしの白百合」は、確かに歴史的な「名場面」となった。
(出典:西原廉太教授ブログ)
かつてNHK朝ドラが、「埼玉県川越市」を舞台に放映された。残念ながら低視聴率で終わった。地元の一人として、ガッカリしたのを思い起こした。NHK朝ドラ制作班は「この回の番組」不評をバネにして、次第に「NHK朝ドラ」は良質な超人気番組へと変身していった。そして、今回『NHK朝ドラ史上の名場面になるのではないかと確信したが、今回の放映で、ただの1秒もカットされることなく、1節、2節すべてが歌われた薬師丸ひろ子さんの「うるわしの白百合」は、確かに歴史的な「名場面」となった。』(西原廉太教授) のだった。
新型コロナウィルス感染蔓延という状況下、「視聴率トップ維持」プレッシャーの中、『エール』制作陣の一人ひとりが、薬師丸ひろ子さんの「うるわしの白百合」によって癒されたのだった。
日々「いのち」と向き合う高齢者介護にあって、高齢者の「身体と心の健康」を護っていきたい。
(2020.11.27)
NPO福音の園・埼玉 理事長 杉澤 卓巳/グループホーム福音の園・川越第二 管理者 杉澤 卓巳